2011年12月17日

はぐるま工房の農園とハーブ園を見に行く その3 畑を見る〜手仕事の畑、「富士通」の堆肥〜市場社会から地域社社会への

挨拶を終えて、歩いて3分ほどの畑へ向かう。
畑は、広い片平の谷戸地形がもっとも山に迫り、平地がもはや山に変わるあたりにある。
福田さんが先導して畑へ向かう。山側から、低地へ向かって降りてゆくと、広い平地が現れ、畑が広がる。
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畑の手前に、作りかけの道路が途中で終わっている、というか始まっている、というか〜(@_@;)
都市計画道路の工事が始まり、畑の一部を横断して道路が作られているのだ。
今も、なお都市は膨張を続けているのだ。都市はここでも、今でも大地をの富を市場社会の富で作られたアスファルトで覆い隠そうとしているのだ。

300坪ほどのはぐるま工房の畑の全景。
都市計画道路に少し削られて、しまってその分狭くなってしまったらしい。
畝は短く切られて、たくさんの種類の作物が作られている。整然としていないといっても良い。
整然と一種の作物が並ぶ幾何学的な、商業化された「農業」の単品農業の畑とは明らかに違う、畑の風景。
P1310250.JPG

この、整然とはしていないしかしいかにも人間くさい畑には、自分たちの意思で、自分たちの技術で、手足で、工夫した道具で行う、いわば手仕事としての農の原点の風景があると感じられた。

     ※     ※      ※

わたしは畑を見ながら、今日の商業化および工業化された農と食を思った。
いまどき、手仕事で土を耕したりするような農地は、このシマグニでは市民農園とか家庭菜園でしか見ることは出来ない。

アメリカでは巨大食品企業によって、日本では主として「農協」や「スーパー」やその他の大口需要者によって、「農」の商業化・工業化がすすめられてきたし、今もすすめようとしている。(兼業の奨め的な志向もあるのではあるが)
そこでは栽培や飼育の品種も方法も、巨大企業や農協やスーパーが決めるものであって、農民は自分では決められない。そして指定された設備や農機や肥料や農薬や種苗や家畜の購入を強いられ、農民は、巨大な産業の末端下請けとして扱われる。すなわち自然との主体的自由な交流者ではなく、貨幣の奴隷、としか言いようの無いもの、である。
加工や食べ方も、保存・流通の都合に合わせて工業化されて、食は、農民にも生活者にも手の届かないところで「商品」と成り果てる。労働も、農も、食も人間から隔てられ疎外されている。もちろん、食の安心も安全もありはしない。

※この温暖湿潤なシマグニでは、長らく食の自給を旨として多品種栽培の農が営まれてきた。その延長線上に自給できぬものとの交換を行うことで、生活は保たれてきた。
※農が、自給のためのものではなく産業として利潤を上げる「農業」でなければならぬ、というのは1960年代以降の、日米安保と引き換えに食料自給を放棄した日本国政府・官僚の見解の中にしか存在しないし、そのようなおろかな農政指導者たちが強いた1960年代以降の近代化=農薬農業の中にしか存在しない。
(食料の自給手段を持たぬ都市住民が圧倒的に増えた今日では、その分商業的農業も増えなければならないけれども。一方また、都市住民が自力で、食べ物を作ることが出来るようにもしなければならないけれども、である)

     ※     ※     ※     

この、整然としていない人間くさい畑は、自然を相手にして生きる、自然の一部としての人間の姿を強く印象付ける。すなわち自然を自分の「非有機的身体(マルクス)」として生きる自然性としての農があると感じられた。
(45人ものメンバーと、スタッフの食を賄って、しかも外部との必要なもの、欲しいものとの交換分を生み出すには、はるかに規模も拡大し、効率化もそれなりに図らねばならないであろうけれども、ね(^^ゞ)

     ※     ※     ※

堆肥場である。川崎市内の富士通の事業所からでる食物残渣堆肥の提供を受けているのだという。
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〜この堆肥がくるようになって、ようやくちゃんと作物が出来るようになってきたんですよ〜と福田さんが言った。
農業経験も、もっと広げて園芸経験もなく、農園作りに取り組んだというはぐるま工房の畑は、当然にも幾多の困難があっただろう。きっとたくさんの失敗を重ね、作物を全滅させるようなことも幾たびもあったであろう。発芽にも、生育にも、結実結果にもたくさんの困難がある。作物が自然状態で生きてゆく困難は、人が生きてゆく困難と等価である。

はぐるま工房では、無農薬、無化学肥料での耕作を行っている。作物を健全に育てるには何よりも土作りが大事だ。良い土作りは虫対策や病気対策にもつながっていく。福岡正信氏のような不耕起自然農法でなければ、堆肥で土作りの一切を行わなければならない。
堆肥は何より大事なのである。
(わたしは、可能な土地では不耕起自然農法も拡大されていくべきだ、と思っているけれど)

市場社会による地域社会への支援とということにも感謝の気持ちとともに感興があるが、わたしはその事情をつまびらかにしないし、たくさんの前提条件について触れることにもなるので、ここでは、企業は市場社会(利益社会)において成立するけれども、地域社会(生活社会=ゲゼルシャフト)の一員でもあるということ、そしてくまなく市場化されてしまった今日の地域社会では、市場社会からの支援または貢献なしに「地域」を成立させることは困難だということを指摘するにとどめておきたい。
(川崎では世界的な大企業であるところの富士通やNECが食物残渣のリサイクルを通じて、地域の農に幾分か「貢献」している。成長期には産業資本は地域から土地と労働力を吸収してきたが、そのために消失した村も地域も「自然」も、けして少なくは無い。しかしながら現在では、この都市も飽和状況に近く市場も成長期から相対安定期=定常期に転換している。人間が自然のうちのものである限り、世界市場システムに生きる企業も地域と切り離して生きることはできない。企業はもっと地域と共生することを真剣に考えるべきである、と取り急ぎ書き留めておきたい)

※     ※     ※

手仕事の、畑を地域の一員としての(したがって自然の一員としての)世界的ハイテク企業が支援しているという巨大都市圏らしい現代的光景。
わたしは、「関係の絶対性」とつぶやいてみてすぐに大きくかぶりを振り、「関係の総体としての人間」と思ってみた。あるいは人間の直接的関係性のあらわれとしての地域、というようなことを。

     ※     ※     ※

社会福祉法人はぐるまの会 
 本部 川崎市多摩区菅馬場1−18−17 はぐるま共同作業所内
 設立 1983年4月
 施設
   利用定員
      生活介護       35名
      就労継続支援B型 10名

   生活介護事業
    @はぐるま共同作業所(主たる事業所)
     川崎市多摩区菅馬場1-18-17
     定員13名
     生産活動内容・・・海産物の仕入⇒仕分け⇒小売、縫製作業(かやふきん、エプロン等)
    Aはぐるま工房(従たる事業所)
     川崎市麻生区片平1848-5
     定員10名
     生産活動内容・・・農作業(野菜づくり)
    Bはぐるま菅工舎(従たる事業所)
     川崎市多摩区中野島3-23-28
     定員12名
     生産活動内容・・・縫製作業(かやふきん、ギャルソン風エプロン、タオルハンガー等)
   就労継続支援B型事業
    C第2はぐるま共同作業所
     川崎市多摩区西生田4-1-28-201
     定員10名
     生産活動内容・・・喫茶業務(特別養護老人ホームよみうりランド花ハウスの
     御協力により、1階喫茶室プラス・ド・フルールはぐるまを運営)
 
  問い合わせ
     はぐるま共同作業所、又は社会福祉法人はぐるまの会法人本部 
      (044-946-1308)
  参考URL
    




posted by foody at 06:48| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 農の現場レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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