2011年12月16日

はぐるま工房の農園とハーブ園を見に行く その2「からだ」と「こころ」〜「労働による発達理論」と「マラソン」

まずは工房で、メンバー・スタッフの皆さんとご挨拶。
工房には10人強が座れるスペース、その倍ほどもある作業スペース、とスタッフルームがある。スタッフルームは扉が無く、オープンだ。

10人のメンバーが一人ずつ、挨拶してくれた。全員が何らかの障害があり、発語困難な人もいたようだが、みな楽しげに懸命に挨拶してくれた。
カメラを向けると、もり上がる面々♪(右側が、オープンな作業スペースだ)
P1310247.JPG
メンバーはぐるまの会のケアホームで分かれて生活しながら、(出来る限り)自力で通って来るのだという。出席率はきわめて高い。

(はぐるまの会の「発達理論」と心身性についてちょっとだけ――体から、心へ、ということ)

はぐるま工房は、麻生区片平の山寄にあって、おそらくは最寄であろう五月台駅から1.2kmほど、柿生駅からは1.7kmほどになるのぼりの道のりを歩いてくるのだ。
そして、午前は体力づくりのために、全員がマラソンをする。多くのメンバーが3kmから5km走り、7kmほども走るメンバーもいる。
最初は抵抗して走ることを拒否することも、当然ながら間々あるらしい。人間は本質的に他から強いられることを拒否する「自分」らしさを持っているからである。
しかし指導に当たるスタッフは、けして安易な妥協はせず、あらん限りの手を尽くして何とか「走る」集団行動へ導くのだという。時には徹底して「対決」することもあるらしい。それは「失敗」ということがあってはならぬ、という点でも、全力で立ち向かうであろうメンバーに、やはり全力で立ち向かうことを強いられるという点でも、一回的で全人格的な緊張に満ちた「総力戦」ででもあるだろうか、と想像してみる。

はぐるまの会は、「労働による発達理論」を掲げて主として知的障害を持つ人の自立を支援してきた。詳細は別に譲るが、「労働」は身体性と関係性の結合を意味しており、いわばその前段的基礎付けとして、「走る」ことは身体の活動が精神の活性にも、形成にも及ぶ、というようなメルロ=ポンティ的心身論の実践であるだろう。

ここでは「走る」ことは、なによりも他者(他我)というものを受け入れる関係性の承認であり、それが「走る」という行動に結びつく心身的「構造」の獲得であり、「走る」という身体性の獲得であり、そのことにおいて精神(自我)は主体的に増幅され、身体を対象化してゆく、だろうか。
他我と自我、からだとこころは、それぞれ相互性として相即的に認識し形成する。身体は精神の単なる対象ではなく、他我は自我の単なる対象ではない。
ここにこころは「独我論」的迷路を抜け出してゆく契機がある、はずだ、と信ずる根拠がある。
「からだ」は、まことに「こころ」の一部、であり「こころ」の源ででありダイナモである。

それぞれの身体や知の「障害」というものは一見きわめて個体的な個人的なことのように見えるが、しかし、命あるものとしての人類が避けられない普遍的受苦性(原生的疎外)を、一個の普遍的個体として自ら背負うことによって、むしろ普遍的である、と思われる。(「障害」を社会がみずから受け入れ、支えてゆくのは、この人間の社会の「普遍的テーマ」である)

はぐるまの会の「労働による発達理論」と「体力強化のためのマラソン」は、障害当事者に対するケアの議論として、先駆的でありかつ実践的であったといえよう。(メルロ=ポンティの『行動の構造』の訳出刊行は1964年、日本語で書かれた本格的な心身論の嚆矢である市川浩の『精神としての身体』は1975年の刊行だ)
創始者たちの優れた先駆的な思想性が実践に結実しているのだ、と強く思う。

     ※     ※     ※

はぐるまの会渉外担当の福田さんが座を締める。
P1310248.JPG
福田さんは、どんなときにも満面の笑顔でメンバーに接する。時に言葉は厳しくならざるを得ないが、しかし口調はあくまで柔らかく、丁寧だ。
その笑顔には障害者支援にかかわる職業人としての深く刻まれた修練と、あるいは人間の本質的原生的疎外にかかわる一人の人としてのある種の謙虚と、加えて修練を超え出ようとするある種の普遍への精神性が含まれている、であろうか。


     ※     ※     ※

社会福祉法人はぐるまの会 
 本部 川崎市多摩区菅馬場1−18−17 はぐるま共同作業所内
 設立 1983年4月
 施設
   利用定員
      生活介護       35名
      就労継続支援B型 10名

   生活介護事業
    @はぐるま共同作業所(主たる事業所)
     川崎市多摩区菅馬場1-18-17
     定員13名
     生産活動内容・・・海産物の仕入⇒仕分け⇒小売、縫製作業(かやふきん、エプロン等)
    Aはぐるま工房(従たる事業所)
     川崎市麻生区片平1848-5
     定員10名
     生産活動内容・・・農作業(野菜づくり)
    Bはぐるま菅工舎(従たる事業所)
     川崎市多摩区中野島3-23-28
     定員12名
     生産活動内容・・・縫製作業(かやふきん、ギャルソン風エプロン、タオルハンガー等)
   就労継続支援B型事業
    C第2はぐるま共同作業所
     川崎市多摩区西生田4-1-28-201
     定員10名
     生産活動内容・・・喫茶業務(特別養護老人ホームよみうりランド花ハウスの
     御協力により、1階喫茶室プラス・ド・フルールはぐるまを運営)
 
  問い合わせ
     はぐるま共同作業所、又は社会福祉法人はぐるまの会法人本部 
      (044-946-1308)
  参考URL
    


posted by foody at 20:08| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 農の現場レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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