2011年10月30日

10月17日18日結いの里交流その3 南魚沼から中魚沼へ魚沼の山越え〜この世のものとも思えない棚田から殺伐とした水害のつめ痕へ〜人間の自由と力と蕩尽について

腕行きがけの駄賃、ということで六日町・長森で、上質の蕎麦をたらふく堪能したわたしたちは、十日町へ向けて山越えをする。
何分、山中の宿泊所で、道もわかりにくく、暗くなっては迷うこともある、というので明るいうちに到着して場所を確認し、荷物を置いてまた出かけようというのである。

ところが、目的地である山中の宿泊所へ向かう道が2度にわたって通行止めになっていた。
7月と9月にやってきた水害のときの土砂崩れ、がけ崩れ、山崩れのためだ。
そのため塩沢方面まで戻り、大沢山トンネルを抜けてすぐに山道に入って塩ノ又温泉方面へ一山越える細い細い山岳道路を走ることになってしまった(^^ゞ
途中、もっとも山奥のあたりに日大レスリング部の道場があったりする。この世のものとも思えない立地だ。

大沢トンネルの入り口前でも、山あいの狭い田んぼに土砂が流入したままだった(ーー;)
途中の険しい山道でも何ヶ所か、被害のあとがあり、かろうじて交通が維持されていることがわかった。

急勾配の下りに入って、塩ノ又温泉のあたりで、渓谷に10坪とか20〜30坪ほどの棚田がぽつぽつと忘れられたように開かれていた。
この険しい山あいに田を切り拓くとは、どんな執着がそうさせたのだろう。
日大のレスリング部道場もそうだが、山あいの狭いわずかな土地にぽつんと切り拓かれた小さな田んぼも、この世のものとも思えない。昔語りや空想の中の出来事のように思える。
人間の力は空恐ろしい、と思えた。
その自信が、近代人間中心主義的科学主義を生み、所有の自由へと連なりついには市場原理主義にまで離床していってしまったか……。

あんまり感じ入ってしまって、写真を撮り忘れてしまった(^^ゞ

写真をと思いついて車を止めたが、このあたりはもう相当下ったところ。
傾斜が緩み緩やかな斜面に、1枚1反もないほどの田がそれでも段々に連なっている。
P1290998.JPG
中央、車の入った轍の後のある田は、土砂が流れ込んだあとがある。

足元には、きれいな湧き水の水利用水が流れていた。
これが魚沼だな〜、これが美味い米のもとだな〜、と大豆の大家の岡田さんが感に堪えないといった風情で口にした。
P1300001.JPG

山の日はもう暗くなりかけている。
所詮、人間の力で太陽をとめることは出来ぬ、が…。

言葉に出来ぬものを腹の底にためて、宿へ急いだ。

道々、たくさんの土砂災害のつめ痕が、それはたくさん、たくさん残されていた。道路の通行は確保されているが、道路に支障のない部分(田とか、宅地とか)はそのままのところも多い。
被害は、とても多く、かつ重かったのだ、ということを思い知らされ、なぜ修復されないままに残っているところがこんない多いのか、とふつふつと疑念が頭をもたげていた。

斜めになって倒れて、かろうじて持ちこたえている電柱。何とか役割は果たしている、ということでそのまま放置されているのだろうか(撮影は翌朝18日)。
周辺には、土砂とともに流れ込んだであろう瓦礫がそのまま取り残されている。
P1300050.JPG

土台から浮き上がり流されてきたままの住宅(撮影は同じく18日)。
この先の橋が流され、仮橋がかけられ、なお修復の工事中だ。橋の工事のため、周辺の瓦礫類は取り除かれたのであろう。
P1300052.JPG
この家は、解体しなければならないがそのためには瓦礫撤去とは別な技術や重機が、つまり貨幣が必要とされる…のであろう…。それゆえ放置されているのであろうか。伝来の共助共同体は機能していないのだ、と思われた。

雨は降るが、この雨には潤いもなければ温かみもない。
冷たくよそよそしい雨だ(おう、貨幣のように、市場原理のように冷たいよそよそしい雨だ)。
雨も、水害の被害の跡も殺伐としてなお刺々しく、いきり立っているように思えた。
自然は、慈母のふりをしてちっぽけな人間に生の営みを恵み、あるとき恐ろしい厳父のように破壊する。
のどの奥に突き刺さったなんともいえぬ砂のような味のものを、噛み締めてわたしたちは通り過ぎた。

     ※     ※     ※
     
わたしたちは、見学に行った道の駅の物産品をころころと買いもとめ、宿へ帰るとすぐに湯に入って体を温め、その夜はことさらにぎやかに痛飲して、倒れるように寝た。

     ※     ※     ※

わたしは、ジョルジュ・バタイユの『呪われた部分』を、「蕩尽」することなしに生きられない人間を、浅い夢見のように思い起こし闇の中に落ちた。




posted by foody at 10:19| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 農の現場レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。