2011年10月22日

10月16日中原区民祭の野菜市〜野菜市の論理と倫理〜食の奪還を目指してその3

市場原理から、自然性(=自然らしさの本質)としての人間へ

人間はその生命を自然の一部として贈与され、自然の一員として自然と一体となって自然のうちに生きる。
肉体的には直接自然=植物と動物を食べ物としてのみ生きられる。
このことはその1に書いた。

市場社会にあっては、自らの自然性・土着性・風土性から脱却して市場性・流動性・世界性へと赴くことが「進歩」であり「希望」であり「夢」であり「成功」である、と語られていた。
そのとき、食は「自然からの贈与」ではなく、「商品」となり、市場システムによって個人から剥奪され、手の届かないものとなっていた。そして、戦争国家アメリカの戦略物資、または「武器」とまで成り果てた。
その結果は食品(表示)偽装であり、BSEであり、O-157であり、ベトナムの枯葉剤のような毒性を持つ莫大な量の残留化学農薬・化学肥料の堆積であり、莫大な量の遺伝子組み換え食品であり、それらからなる化学調味料や保存料やその他の食品添加物類を大量に使用したファーストフードであり、工業化されたレトルト食品であり冷凍食品であり、コンビニ等の大量製造惣菜や弁当や、その他のインスタント麺やインスタント食品や、である。
その辺は、こちらにも書いた。

しかし1987年アメリカのブラックマンデー、1990年日本のバブル崩壊で行き詰まりを露呈した市場システムは、その後何度かの挑戦としっぱいを繰り返し、2008年リーマンショックで最後的に限界に達し、わたしたちの生存システムは根本的な転換を迫られている。
食は直接肉体的(精神的にも!)な生存の基底をなすものであり、市場システムから本来の自然性へと奪還され、個人の目に見えるところで自然からの贈与として獲得され加工されるべきものであるだろう。
社会システム全体は国民国家に代わる新しい公共システムが求められ、その内容は広大にして複雑多岐にわたるが、少なくとも食だけは、早々に喫緊に、自然性に根ざす個人の手に返還されなければならない、と思われる。

思想的にはすでに、経済社会学者カール・ポランニーによって1930〜40年代に、後に『大転換〜市場社社会の形成と崩壊』(邦訳1975年、原書The Great Transformation 1957)収録される諸論文が発表され、市場社会の意義と限界、終わりの必然性が完膚なきまでに解き明されていた。
今はその大きな思想的地平を肉付けして、実践へと構築してゆくとき、である、とわたしには思われる。

自然性と土着性と風土性へ帰るための「市」〜野菜市3原則

野菜市は、「市」と称するがもちろん世界市場を目指すわけではない。土着性、風土性に帰るための「市」である。
この辺のことは少しその2に書いた。

そのために、野菜市では
■自然性〜自然の産物とその一次加工品のみを取り扱う(添加物、化学工業製品を使わないもの)。また自然的風土的農法で作られたものだけを扱い、工業化された農法で作られたものを避ける。
品種においても、出来るだけ在来種の野菜を取り扱う。
■土着性〜「かわさきそだち」の野菜だけを扱うのが本来だが、量が足りないこともあり半分以上は川崎産のものにこだわる。また地域の特産物や伝統種を大事にする。
■風土性〜季節の運行に従い、旬のものを農家からは出来るだけ高く買い、購入者には出来るだけ安く売る。作物がなければ無理して売らない。風土に合った伝統種・伝統産物を大事にする。
という原則がある。

また特に相互協力的な関係にある(付き合いのある)新潟・結いの里の野菜を扱ったりする。
梅干やジャムや味噌や納豆など加工食品も扱うが、加工者は自分かまたは「仲間」であり、加工にあっては地場産の自然物以外は使わず、添加物も、もちろん化学工業製品も使わない。

価格の重要性について

価格とは物の価値を貨幣単位にして表したものだが、どのような価値を表したものか定かではない。使用価値ではなく交換価値とも言い切れない。
おそらく近代経済学用語では説明のつかないものだ。

価格の決定要因について、近代経済学は需要と供給が決定するのだといっている。しかし、そのように純粋に動くのは経済学者のモデルの中だけである。
生身の社会には、生産者側のコスト+利潤という生産者が主張する価格がある。今日でも野菜の直売所では生産者が値段を決めている(決め方の根拠はともかくとして)。
あるいは大企業が指値をして決めるような、あるいは入札価格というような買い手の主張する買い手価格がある。
これらの絡み合いに、感情や気分や、といったものが加わる。
良くわからない。
だが、野菜に値段をつけようとするとき、本来自然の恵みであるはずのものを市場の価値に置き換える何かが働いている。仮に純粋な自然農法で、自家取り種なら、コストは道具類と労働コストだけになる。道具類も自家製造可能なら、コストは労働コストだけだ。最終的に価格は労働コスト(抽象していけば労働時間)を市場的に表現するものということになる。
だが、現実には労働コストよりはるかに安い価格で野菜は流通している。
市民社会はそれを容認し、代わりに農家への市場からの補助を行っている。

そこには、(安くなければ買ってくれない、という)市場の圧力だけでなく何か違う力が働いているように思われる。
たとえば、食を市場社会のギャンブルまたは蓄財の原理から救い出そうとする自然から市場社会への贈与である、あるいは圧力である、というような…。
それは、市場社会が何かしらボランティアや慈善の気持ちを人間に起こさせるものと相通ずるようなものだろう。
価格は、自然の価値、すなわち使用価値をあるいは自然というものの尊厳を、市場社会の価値に変換しようとする不思議なトリックスターだ。
それは人間の利他の気持ちに何か通じるところがあるかもしれない。
あるいは人間が社会を作って生きることの、何か本質的な意味があるかもしれない。

価格は重要である。

     ※      ※     ※

10月16日はぬかるみの等々力緑地で開催された中原区民祭で野菜市。
野菜市は「かわさき育ち」野菜市、である。
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それでも人々はやってきて次々に野菜を覗き込む。
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人間は、ハレとか祝祭とか抜きに生きられないのだな〜、とつくづく思ってしまう。

忙しくて、あまり写真を取ることが出来なかった(^^ゞ

野菜は川崎市内の5農家から、初物のほうれん草や蕪、地場種の禅寺丸(柿、ね)、今シーズン最後の茄子など15品目、価格で全体の50%ほど。
新潟の結いの里から、大量の人参や大根、ミニトマトのアイコや南瓜栗ゆたかなど全体の2割10品目ほど。
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以前に撮った写真だが、臼井さんはいつもこのトラックで駆けつけてくれる。
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結いの里は十日町の台地の上の遊休地10haを耕作するが、都市の住民との交流相互支援を求めて活動する〈食農共同体〉でもある。
臼井さんは毎週東京と十日町を往復して、東京の小学校19校でお米の学校を開いている。
また、Uzumakiとも、大田区の昔のトマトの勉強会とも提携関係にあり、都市住民が作るダンボール堆肥を引き取って、農園の野菜と交換してくれる。
こちらは、結いの里で用意してくれる、ダンボール堆肥との交換用の野菜セットだ。
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大林さんは所沢の関谷農園からたくさんの初物のサトイモとにんにくを持って駆けつけた。
今年は、どこでもサトイモが良く生育して大粒だ。
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最初、テントの高さを一段低く設置してしまい、顔が隠れる状態になってしまった。
長身の大林さんは、テントの幕板部分をめくり上げて、顔出し(^^ゞ

岡田さんは、珍しい地大豆(在来種)を使い、在来納豆菌だけで作った、匂いのしない豆の力の強い納豆を広めることを使命としている。
今日は味噌や入り豆などの加工食品もたくさん用意してきた。
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たくさんの捌ききれないお客さんの合間を見て、中村さんが本日のお奨め品、小泉さんの生でも食べられるカブ「あやめ雪」を試食用に刻む。
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どろどろの土で野菜を置く場所もなく、販売用の台もなく、テントを低く設置してしまったり、諸問題はいろいろあったのだが、とりあえずお客様の数は多く、昼過ぎには、たくさんたくさんあった野菜はほぼ完売、売り場は空っぽ状態になってしまった。
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滅茶苦茶な大忙しから、一気にヒマになって、みんなお茶を飲んだり、お昼を食べたり(^^♪
お昼は中村さん手作りのおにぎりとお惣菜。
左から梅干、ちりめん、それと、う〜〜〜んたしか赤米(古代米)のおにぎり、だったかな〜〜(^^ゞ
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食の安心・安全を生存と生活の基底と考えるUzumakiであってみれば、イベント食といえども大量の遺伝子組み換えとうもろこしなどや化学工業製品を添加物として含む工業化された食を排し、出来るだけ自然状態に近いものを食べて、自ら実践しなければならない、のではないか、ということで、イベントごとに中村さんが材料を吟味して手作りしてくれるのだm(__)m

さらにわたしは、岡田さんがサンプル用に作ってきた地大豆(赤豆)入りの特大おにぎりもゲット(^^♪
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疲れたが大満足、の一日だった。

野菜市の論理と倫理 食の奪還をめざしてその1はこちら
野菜市の論理と倫理 食の奪還をめざしてその2はこちら



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