2010年10月26日

贈与の美学〜0歳からのクラシックコンサート

畑仲間の森井さんが、近頃畑に来ない。
どうしたかと思っていたら、成城ホールで225組+αの親子を集めた「0歳からのクラシックコンサート」を開くのだという。史上に類例がないのではないか。「コンサート」というよりもっと身体を使ったリトミック体操的なものなら容易に想像できるが。
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さらにおまけに「一人でこつこつ準備を」などとこの人らしくもなく地味目なことを言う。この人のプロデュース的才能は、掌で踊る雷同者を求めている。これは行かねばならぬ、と思った。
10月26日、「踊る雷同者」となったわたしはUzumaki仲間のチャップリンおばさんと水山さんと、ビデオや写真の撮影を手伝うという名目で押しかけた。

     ※     ※     ※

そもそも楽曲は(と書き出して、どシロウトのわたしは困惑している(-_-;))打楽器の身体性と、メロデイの持つ叙情性、そしてそれらが合わさって複雑な叙景性や物語性を併せ持つ。身体と脳のおく深くから湧出するように、それはわたしたちにやってきて、わたしたちを生かしたり困惑させたりする。それはある時、「うた」としてわたしたちに叙情し、「身体」としてわたしたちを原生的なものに還元する。
そのようにして生かされてきたわたしたちは、終に詩と音楽に対して批評を放棄しなければならいのではないか、という微かな不安と疑念を確かめに来た、のでもある。

     ※     ※     ※
会場に早めについて、準備にあわただしい森井さんから機材を受け取ってビデオのセット。
会場では、アルファキッズサロンの講師でもある出演者がリハーサル中。(一番贅沢な楽しみ方かもしれない、な)
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しかし、ACアダプターはないわ、液晶モニターは映らないは、とイベントに付き物の小トラブル(^^ゞ トラブルではあるが、それを何とか乗り越える楽しさが、「現場」にはある、かな(^^ゞ
開演時間が迫っても、会場のそとには長蛇の列ができていた。7〜8人ほどのスタッフで入場処理にあたっていたが300組600人近い親子の入場には予約確認、席確認、名札渡し、現金授受などで一組一分ほどかかるか。さらにはベビーカーの処理などもあって開演が遅れた。
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しかし、会場内では元気な子どもたちがここぞとばかり自由時間を楽しみ、楽器にさわったり動き回ったり。母親たちも、子を見守りつつ日常を抜け出した解放感なのかリラックスした表情で同じく自由時間を楽しんでいるように見えた。
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プログラムは「アンパンマンのマーチ」から始まって、まず子の知覚を心身からつかむ。剣の舞でピークの緊張が伝えられ、打撃のリズムの非日常的な「快」(つまりカタルシス)が措定される。
ピアノで少し緊張を和らげたあと、アフリカンな打撃が日常の時間の音の「楽」を広げてゆく。
ついで身体を楽器として使い、音と同化して、さらに心身的な「楽」が展開され純化されてゆく。
子どもたちはパーカッションには大盛り上がりで、目がきらきらしている。
カノンは母たちの「楽」を日常に押し戻す。
最後は(写真が切れている(>_<))デイズニーメドレーで全部を日常に納めてしまう。
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うまくできたストーリーだな。

演奏中でも子どもたちは自由に客席と段差のないステージを動き回る。
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マリンバに興味津々♪
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カメラの三脚の下(中?)に安住地を見出した子が場所を占領してわたしは一時撤退を余儀なくされた(笑)チャップリンおばさんが懸命に占領地返還交渉(?)をしてくれた。
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こんなきちんとしたホールでもう少し楽器を揃えて「中央アジアの草原にて」の弱起からの激しい転調や、「ボレロ」のリズムと旋律の交響や、ベートーヴェンの6番の転調の部分など小さい子に聞かせてみたいものだと思った。楽器が多すぎても、長時間になってもいけないけれど。

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0歳児に生のクラシック音楽の楽奏を体験させるコンサートは知らない。
実際には、乳児・幼児を抱える子育て中の母親が主対象であるかもしれない。子育てのストレス解消、と言うような…。
しかし生まれ、育てられる子と生み育てる親の関係性は「音楽」の快楽性を媒介として、市場的な「交換」ではない一方的かつ連環的な「贈与」として心身論的に確証されうる、ような気がする。
われわれは一方的な「贈与」者である、すなわち無償の奉仕者であることに「美」を感じていたかもしれない。
親子は、したがって子育ては「人倫」における「贈与の美学」であるとでもいうような…。

若い親たちは、確証に満ちて生のエネルギーを充填させ、生々した目をして帰途についたように思える。

     ※     ※     ※

何はともあれ盛況で、大過なく終えられたことにお祝いを、そして走り回ったスタッフの皆さんにご苦労様を申し上げます。
森井さん、皆さん、ありがとうございました。

(森井さんは自宅を使って「わらべうた(アルファキッズクラブ)」というリトミックと食へのこだわりを導入した子育てサロンをやっている。)




posted by foody at 23:27| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 農・食・状況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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