2010年07月22日

長谷川宏の画期的・革命的な新訳に涙がでそうになる〜長谷川宏新訳カール・マルクス『経済学・哲学草稿』1

経哲草稿 長谷川宏.jpg
長谷川宏による、カール・マルクス『経済学・哲学草稿』の新訳が出た。
それも文庫である。光文社古典新訳文庫である。

買って、ぱらぱらみて見た。
パラパラ拾い読みしながら、雨上がりに青空がスーッと広がるような、
胸のすくような思いにとらわれた。

『経済学・哲学草稿』はマルクスの著作の中でも、もっとも思考が躍動する作品で、その自然哲学と法哲学の人間的再構築は人間の存在の根源的形態を言い表そうとしており、わたしにとってはすべての思考の根源であるような書である。
何度も読んできた。何度も読んで来たが、晦渋な訳文(それは必ずしもこれまでの訳者のせいではないが)と曖昧で難解な訳語と、格闘するようにしながら、自分の用語を組み立てて、建築物を解体するようにして読み取った内容を自分でまた組み立てなおしてみて、「ああ、そうだったんだな」、と初めて得心するような読み方だった。

長谷川宏の新訳には、国民経済学とヘーゲル哲学を武器に、それらを批判的に乗り越えながら、まさしく市場化する「近代」の勃興のまっただ中に踏み出す青年マルクスの思考が躍動している。
読みながら、そうだよ、そうだよ、俺と一緒だよ、と共感する。
自然や社会(ヘーゲルの「法」)への考えにも共感するが、思考の仕方、その躍動の仕方に感動する。

単に訳語がわかりやすいというようなことではなく、(それだけでも言い尽くせぬほど意義深い、また労多い仕事なのであるが)そこに、生きた若き人間マルクスが、隣にいるようにして思考している姿がありありと浮かぶ。
―すると、折々にマルクスを読んできたころのことや、思いや、失ってきた人やものや時がいっぺんにやってきて、なきそうになってしまった。

生きたマルクスを描き出す長谷川宏の訳文のちから、に感動した。

     ※     ※     ※

カール・マルクス著長谷川宏訳『経済学・哲学草稿』
光文社古典新訳文庫
2010年6月20日第1刷648円+税


posted by foody at 05:25| 神奈川 | Comment(0) | 自分のための読書メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。